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最高裁判所第三小法廷 昭和31年(あ)3863号 決定 1957年3月05日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人足立梅市の上告趣意は単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない(旅館のように各室毎に宿泊客がその居室内の自己所有物件を所持していると認められる場合においては、たとい同一家屋内においてであってもその侵害は窃盗を構成し、その後になされた旅館の女中の脅迫とその主人所有保管にかかる物の奪取を内容とする強盗とは別罪を構成し、その関係は併合罪となると解すべきものである。本件において原判決は、男物ズボンが宿泊人岡繁義の所有看守にかかり、合オーバー等が井端新吉の所有看守にかかることを認定しているので、所論は原判示にそわない主張である)。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔)

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